入れ歯の文化史―最古の「人工臓器」 |笠原 浩
入れ歯の文化史―最古の「人工臓器」笠原 浩
文藝春秋 刊
発売日 2000-08
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「歯が痛ければ、理髪師や旅回りの歯抜き屋に抜いてもらい、歯抜けが気にな
れば、死者から抜き取った歯を、隣の歯に針金で結わえておけばいい」。そ
れが当たり前の時代があった。筆者はそんな歯科治療暗黒時代に人類が別れ
を告げるまでを、エリザベス1世、ワシントン、源頼朝、本居宣長、杉田玄白
といった偉人たちのエピソード、現存する入れ歯の写真資料などを交えつつ
振り返り、解説していく。
入れ歯にはなぜか滑稽(こっけい)さがつきまとう。ほかの人工臓器が外れ
たからといって吹き出す人はいまいが、コントなどでは入れ歯がズレただけ
で笑いが起きる。老いれば誰もが体験する不具合だからこそ笑えるのだろう。
だが200年以上も前の入れ歯となれば笑いの質も変わってくる。
総入れ歯はその誕生当初、容貌を保つための「詰め物」にすぎず、まだ「噛
む」機能は持ち合わせていなかった。バネの力で入れ歯を上顎と下顎に押し
つけて固定するという乱暴な作りで、歯肉は傷つけられるし、上唇は押し上
げられ、油断すると入れ歯が飛び出してしまうので、使用者は歯を食いしば
り続けなければならなかった。装身具というより拷問具とよべるような代物だ
ったのである。
抜歯も19世紀までは麻酔無し。ペンチや釘抜きのような道具を使ったそのエ
ピソード「患者の悲鳴をドラムやラッパの音でかき消した」などは、笑いを
呼ぶかもしれないが、おぞましい、ザラっとした後味が残るだろう。その意
味で本書は、「21世紀の歯医者嫌い」には、やや刺激が強すぎるかもしれな
い。(中山来太郎)
業界の人達にこそ 2003-03-21
簡単な歯科の歴史書として読んで面白い本です。歯科医学は若い学問なので
歴史というとらえ方はあまりされていません、しかし最近のように歯科医学
の進歩が早くなりますと、臨床家として、その技術や材料が本当に患者さん
の利益になるかという事を批判的に判断する必要が生じてきます。その時歴
史的視点が必要なんだと思います。もちろんこの本だけでは不充分ですが、
ただの雑学を得る本としてではなく、自分の歯科医師としての幅を広げるき
っかけとして、役に立つと思います
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